放射線技師の派遣費用はいくら?相場・紹介との違い・失敗しない選び方
- 医療現場の人手不足・欠員対策
- 2026年7月6日
病院やクリニック様の採用担当者様向けに放射線技師の派遣費用相場と内訳を解説します。実は「派遣」は原則禁止されており、紹介予定派遣や人材紹介が現実的な選択肢です。違いと選び方を整理します。
1. 健診の稼働を止めないために、放射線技師をどう確保するか
健診センターやクリニックの事務長・採用責任者から、次のような相談を受けることが少なくありません。
「放射線技師が急に退職して、健診の予約を止めざるを得ない」 「繁忙期だけ人手を増やしたいが、費用の見積もりが取れず稟議が通らない」 「派遣と紹介、どちらが自院に合っているのか判断がつかない」
健診は予約制で運営されている施設が多く、技師が1名欠けるだけで受診枠を削減せざるを得ません。企業健診や自治体健診を受託している施設では、稼働停止が契約先への信頼低下に直結します。
一方で、放射線技師の採用市場は売り手優位が続いており、常勤採用だけで欠員を埋めるのは難しいのが実情です。短期間で確実に人員を確保する手段として、派遣や紹介の活用を検討する事務長・採用責任者が増えています。
2.費用相場が分かりにくい理由と、実際に起きている失敗
■相場が分かりにくい3つの理由
放射線技師は職種特化型の求人媒体
・人材会社が限られており、比較材料が少ない
見積もりに含まれる範囲(交通費・社会保険料・教育コストなど)が会社ごとに異なる
後述するとおり、放射線技師は労働者派遣の対象業務として制限があり、「派遣」という言葉が指す契約形態が会社によって異なる
この3点目を理解せずに複数社へ問い合わせると、同じ「派遣費用」という言葉でも見積もりの前提がバラバラで、比較ができなくなります。
■現場で実際に起きている失敗パターン
失敗パターン1:相場を確認せずに1社だけで契約し、想定外の費用増 マージン(派遣会社の運営費・利益)の内訳を確認しないまま契約し、更新時に想定より高い請求を受けるケースがあります。
失敗パターン2:「派遣」で依頼したつもりが、実は対応できないと後で判明 放射線技師の労働者派遣は、病院等の医療機関では原則禁止されています(詳細は次章)。この前提を知らずに派遣会社へ依頼し、契約直前になって「紹介予定派遣でなければ対応できない」と判明し、導入が遅れるケースがあります。
失敗パターン3:稟議のための根拠資料を用意できず、決裁が長引く 費用相場や法的な位置づけを整理した資料がないまま稟議に上げ、差し戻しを受けて欠員期間が延びるケースです。
これらの失敗は、費用相場と制度の前提を先に押さえておくことで防げます。
3.前提知識:放射線技師の「派遣」は原則禁止されている
意思決定の前に必ず押さえておくべき点があります。診療放射線技師の業務は、労働者派遣法の施行令により、病院・診療所等の医療機関における労働者派遣が原則禁止されている職種の一つです。これは医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師なども同様で、チーム医療の継続性を確保する目的で制限されています。
■例外的に認められるケース
すべての派遣が禁止されているわけではありません。次のケースは例外として認められています。
・紹介予定派遣:一定期間(最長6か月)派遣として就業した後、双方合意のうえで直接雇用に切り替える前提の契約
・産前産後休業・育児休業・介護休業の代替要員:休業を取得した職員の代わりとして就業する場合
・へき地・離島など医師確保が困難な地域における一定の業務
健診業務のみを行うクリニックや健診センターも、医療法上の医療機関として届出されている場合は同様の制限を受ける可能性があります。自院の施設形態がどの区分に該当するかは、契約前に必ず確認が必要です。
■実務上の結論
健診業務での人員確保を検討する事務長・採用責任者の多くが実際に活用しているのは、以下のいずれかです。
・一定期間就業後に直接雇用へ切り替える前提の紹介予定派遣
・成功報酬型の人材紹介(有料職業紹介)
・産休・育休等の代替要員としての限定的な派遣
「派遣費用」を調べる際は、この前提を踏まえたうえで見積もりを比較する必要があります。
4.費用の内訳と相場感:紹介予定派遣・人材紹介・直接雇用の比較
4-1. 費用の内訳
紹介予定派遣・限定的な派遣の費用は、主に次の要素で構成されます。
・技師本人へ支払われる給与相当額
・社会保険料等の法定福利費
・派遣会社の運営費・利益(マージン)
一般的な医療職種の派遣業界のマージン率はおよそ30%~40%前後とされています。ただし放射線技師のような専門職特化型の派遣・紹介予定派遣では、教育コストや専門人材の希少性を理由に、これと異なる料率が設定される場合があります。実際の料率は、各社が公表するマージン率情報公開資料、または見積もり時に必ず確認してください。
なお、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、診療放射線技師(短時間労働者)の平均時給は2,791円です。派遣・紹介予定派遣の費用を検討する際の給与相当額の目安として参考になります。
人材紹介(成功報酬型)を利用する場合の紹介手数料は、医療系専門職では想定年収の20〜35%程度が相場とされています。年収500万円の技師であれば、100万〜175万円程度が目安になります。
4-2. 比較:導入方法別の特徴
紹介予定派遣 法的な位置づけは、一部条件を満たした場合に可能です。費用は就業期間中、給与相当額とマージンが継続的に発生します。導入までの期間は比較的短く、就業後に人柄やスキルを見極めたうえで直接雇用へ切り替えたい場合に向いています。
人材紹介(有料職業紹介) 法的な制限はありません。費用は採用決定時に、想定年収の20〜35%程度が一括で発生します。導入までの期間は中程度で、早期に直接雇用としたい場合に向いています。
直接雇用(常勤採用) 法的な制限はありません。費用は採用媒体費や人件費が中心で、成功報酬は発生しません。導入までの期間は長期化しやすく、中長期的な人員計画がある場合に向いています。
自院がどの選択肢に向いているかは、欠員が一時的か恒常的か、直接雇用への切り替えを前提とするかによって変わります。判断に迷う場合は、状況を伝えたうえで個別に相談することをおすすめします。
5.失敗しない選び方:導入前チェックリスト
導入前に、以下の項目を確認してください。
□自院の施設が医療法上どの区分に該当し、派遣の制限対象かどうかを確認したか
□紹介予定派遣・人材紹介それぞれの費用内訳(マージン率・紹介手数料率)を書面で確認したか
□契約期間中の交代要員対応や、早期離職時の返金規定を確認したか
□健診業務に必要な検査(CT,MRI等)の実務経験を条件として伝えているか
□稟議に使う費用根拠資料(相場・内訳・法的位置づけ)を準備したか
このチェックリストを満たさないまま契約を進めると、前章で挙げた失敗パターンを繰り返すリスクがあります。
まとめ
放射線技師の人員確保を検討する際は、まず「派遣」が病院等の医療機関では原則禁止されており、実務上は紹介予定派遣や人材紹介が中心になるという前提を押さえる必要があります。
そのうえで、給与相当額・法定福利費・マージンや紹介手数料率を確認し、自院の欠員状況(一時的か恒常的か)に合わせて導入方法を選ぶことが、費用面での失敗を防ぐ最短ルートです。相場観だけで判断せず、自院の条件に合わせた見積もりを個別に確認することをおすすめします。
FAQ
- Q1. 放射線技師を「派遣」で受け入れることはできますか?
- A:病院・診療所等の医療機関では、放射線技師の労働者派遣は原則禁止されています。例外として、紹介予定派遣、産前産後・育児・介護休業の代替要員、へき地等の一定地域における就業が認められています。自院のケースが該当するかは、施設の医療法上の区分によって異なるため、契約前の確認が必要です。
- Q2. 紹介予定派遣と人材紹介、費用面ではどちらが安いですか?
- A:一概にどちらが安いとは言えません。紹介予定派遣は就業期間中に給与相当額とマージンが継続発生する一方、人材紹介は採用決定時に想定年収の20〜35%程度を一括で支払う形が一般的です。短期間の見極めを重視するなら紹介予定派遣、早期の直接雇用を重視するなら人材紹介が向いている傾向があります。
- Q3:費用の見積もりを取る際、何を確認すればよいですか?
- A:給与相当額、社会保険料等の法定福利費、マージン率または紹介手数料率の内訳を書面で確認してください。あわせて、早期離職時の返金規定や交代要員の対応可否も、契約前に確認しておくべき項目です。


