医療従事者が足りないとき、まずやるべき「欠員リスクの初期対応」とは
- 医療現場の人手不足・欠員対策
- 2025年4月18日

急な欠員や採用難が続く中、看護師や診療放射線技師・臨床検査技師などの医療従事者の補充が間に合わず、診療現場の質や業務負担に影響が出ている医療機関は少なくありません。本記事では、欠員が発生した直後に実施すべき「初期対応」の基本を整理しつつ、医療スタッフ派遣・人材紹介の活用によって採用成功率を高めた事例も紹介します。また、現場の混乱を最小限にとどめる「シフト組み直し」や「応援依頼」の選択肢も含め、短期・中長期での対策の違いと導入ポイントを解説します。
急な欠員が起きた直後に行うべき「初期対応」
はじめに:専門職の欠員が与える医療現場へのインパクト
近年、看護師や診療放射線技師・臨床検査技師などの医療職種において、急な退職や人手不足が医療現場の大きな課題となっています。
特に中小規模の病院では、一人の欠員が検査や診療の遅延、医師・看護師への業務負担増加など、全体のオペレーションに深刻な影響を与えるケースもあります。
厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(令和5年度)でも、医療従事者の地域偏在と不足は今後さらに深刻化する見通しが示されており、早期の欠員対応力は医療機関にとって不可欠な経営課題といえます。
本記事では、急な欠員が発生したときの初期対応から、シフト見直し、人材紹介・派遣の活用法まで、現場負担を最小限に抑えながら早期解決を目あ指すための手順と判断軸を整理します。
欠員が発生した場合、まず現場で優先すべきは、混乱を最小限にとどめるための初期対応です。
初動が遅れると、残されたスタッフへの負担が急増し、さらなる退職リスクを招く可能性があります。
初期対応のポイントは以下のとおりです。
- ・欠員状況の可視化(業務量、必要シフト、患者数)
- ・代替対応可能な職種や資格者の洗い出し
- ・一時的な外部応援の打診(グループ病院・近隣施設との連携)
- ・部門リーダーと経営層との即時連携
この段階では、「人を補う」ことと同時に「業務を見直す」ことも重要です。
たとえば一部検査項目の縮小や予約制限など、一時的に業務量を調整する判断が求められます。
内部リソースだけでは乗り切れない構造的課題
とくに放射線技師や検査技師などの専門職は、代替が難しい職種であり、欠員が出ても内部人材で補うのが困難な場合が多くなります。
医療専門職における人材不足は、以下のような構造的な背景があります。
- ・養成校数や国家資格者数の地域偏在
- ・若手人材の都市部志向と地方離れ
- ・同一施設内でのダブル資格者の希少性
結果として、欠員発生時に「すぐ対応できる人がいない」というケースが常態化しています。
そのため、シフトの再構築だけでは限界があるのが現実です。
このような背景を踏まえ、「内部調整」だけで対応しようとするのではなく、外部資源の活用も前提にした計画づくりが必要になります。
人材紹介・派遣サービスの活用で採用リスクを軽減する
急な欠員や人材難に直面した際、有効な手段のひとつが「人材紹介・派遣サービスの活用」です。
とくに医療技術職においては、即戦力としての人材確保と早期着任が重要になります。
主なメリットは以下のとおりです。
- ・即時対応可能な人材の選定・調整が可能
- ・採用業務(広報・面談・条件交渉など)の省力化
- ・試用期間を兼ねた派遣→紹介への転換も選択可能
ジャパン・メディカル・ブランチのような専門エージェントでは、看護師・放射線技師・検査技師に特化した登録者ネットワークを活用し、欠員内容に合わせた個別対応が可能です。
中長期での採用強化にもつながるため、恒常的な人手不足に悩む施設では、早めの相談が望まれます。
応援依頼・外部連携・院内再配置のバランスをどう取るか
外部サービスの活用に加え、内部的な短期対応としての「応援」や「再配置」も選択肢となります。
ただし、これらは場当たり的に行うと、かえって他部署への負荷が増し、職場全体の士気を下げる要因にもなりかねません。
有効な運用方法としては、
- ・応援は「スキルマッチ」「稼働調整」「指導体制」をセットで設計
- ・部門横断での業務の棚卸しによる再配置判断
- ・応援対応者へのインセンティブ制度の設計
また、欠員対応を通じて業務の無理・無駄が浮き彫りになることもあります。
このタイミングを利用して、業務改善や標準化の機会とする視点も有効です。
中長期的な採用強化のために、今できること
欠員の即応だけでなく、将来的な採用の安定化・強化に向けた取り組みも並行して進めるべきです。
特に地方や中小規模の医療機関では、採用活動の設計そのものを見直す必要があります。
取り組むべき施策としては、
- ・「急募」の状態を脱するための年間採用計画の策定
- ・技師向け説明会・見学会など接点拡大
- ・勤務条件・働き方の柔軟性を打ち出した求人設計
- ・地元養成校や転職支援機関との定期連携
このような仕組みづくりによって、「急募」に頼らずに済む採用体制を構築することができます。
欠員が発生してからではなく、欠員を前提とした準備が重要です。
まとめ
看護師や放射線技師・検査技師の急な欠員は、現場の混乱とともに、医療の質にも大きな影響を及ぼします。
初動の適切な対応に加えて、外部サービスの活用や応援体制、再配置のバランスを見極めることが、現場の持続性を支える鍵となります。
また、恒常的な人手不足を解決するためには、中長期的な採用戦略の見直しと仕組みづくりが不可欠です。
人手不足が「常態」にならないよう、早めの対策と連携を進めていくことが、これからの医療機関に求められています。